高校生の頃、憧れの花だったオオミズトンボ。
どうしても見てみたくて、お小遣いを貯め千葉の有名産地を訪れたところ、
既に花を咲かせるような株は絶えており、滅茶苦茶がっかり……。
それから暫く経った秋の暮、東北のとある山草店にお邪魔した際、
花のなくなったミズトンボのような草が植わった鉢に、
さらっと「オオミズトンボ」のラベルが貼られていました。
頼み込んで譲ってもらった翌年の夏、
真っ白の花が開いた時の感動は、今も鮮やかに思い出せます。
栽培は案外普通のミズトンボやサギソウと変わりません。
栄養状態が良ければ分球しますし、実生もそこまでハードルが高くないようです。
実生個体は、花にも多少のバリエーションがあって面白いです。
ちなみに現在、実生増殖で増やされている個体の一部には、
上記の東北のオオミズトンボの血が残っています。
(栃木県の大型系統が主のようですが)
湿地のように遷移や開発にさらされがちな環境に生きる植物は、
自生地よりも、人の手元に残されていたものの方が、
かえって長く保存されている例がしばしば見られます。
素晴らしい花、いつまでも絶えずにいてほしいものです。